外科
概要と実績
<外科で対象としている疾患>
消化器および腹部の疾患 |
1.がん治療
当院では頻度の高い大腸がん、胃がん、乳がんをはじめ、比較的まれな肝胆膵領域や食道のがんなど各種臓器から発生するがんの手術を行っています。さらに、令和2年度からは呼吸器外科専門医を迎え肺がんの外科治療を始めました。最新の知見をもとに周術期の薬物療法を積極的に行い治療成績の向上に努めています。食道がん、大腸がん、早期の胃がんについては侵襲の少ない鏡視下手術を行っています。鏡視下手術は出血量が少ない、創が小さいため痛みが少ない、手術のほとんどを胸腔内あるいは腹腔内操作で行うため術後の回復が早いなどの利点を持つ優れた手術方法です。乳がんでは、術後の“美しさ”を重視した乳房部分切除やセンチネルリンパ節生検により可能な限り縮小手術を行っています。また、乳房全摘が必要な患者様で乳房再建を希望される方には、岐阜大学形成外科と協力して対応しています。近年、がん遺伝子パネル検査に基づくがん医療が大学病院やがんセンターを中心に始まっていますが、当院では該当となる患者様について富山大学がんゲノム医療推進センターと連携し診断、治療のアドバイスを頂いています。
主な疾患の治療成績
大腸がん(2018.1〜2022.12)
年齢 |
74歳(35-99歳) |
結腸/直腸 |
184例/114例 |
Stage Ⅰ |
68例 |
Stage Ⅱ |
102例 |
Stage Ⅲ |
80例 |
Stage Ⅳ |
16例 |
非切除 |
32例 |
補正生存率(がんによる死亡が対象です)
胃がん(2018.1〜2022.12)年齢 |
73歳(39-94歳) |
Stage Ⅰ |
59例 |
Stage Ⅱ |
24例 |
Stage Ⅲ |
25例 |
Stage Ⅳ |
14例 |
非切除 |
16例 |
補正生存率(がんによる死亡が対象です)
乳がん(2018.1〜2022.12)年齢 |
64歳(37-91歳) |
Stage 0 |
16例 |
Stage Ⅰ |
56例 |
Stage Ⅱ |
43例 |
Stage Ⅲ |
10例 |
Stage Ⅳ |
4例 |
補正生存率(がんによる死亡が対象です)
鼠径 (そけい) ヘルニア
消化器外科で一番多い手術、それは「脱腸」です。脱腸の正式名は「鼠径ヘルニア」といいます。本来腹筋の内側に収まっているはずの内臓が筋肉の隙間から飛び出してしまう疾患です。治す方法は手術しかありません。近年、下の図のように腹腔鏡を使ってお腹の内側から修復する手術が普及しています。当院でも「腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術」を導入しています。この方法はお腹の中からヘルニアの穴を診断しますので、確実な修復ができ再発の危険性も少なくなります。 お腹の内側からの手術なので神経や血管の損傷が少なく、術後神経痛が少ないと言われています。全身麻酔で約 1 時間前後の手術です。
下腹部や足の付け根がぷくっと膨らんで気になる方は、ぜひ一度診察にいらして下さい。
非常によくある疾患ですが、人知れず悩んでいる方が多く、勇気を持って病院にいっても相手にされないことが多い疾患です。当院では、痔核 (イボ痔) の治療を真剣に行なっています。イボ痔の治療は ① 薬、② 硬化療法 (注射で痔核を固める: ALTA) 、③ 切除とあります。当院ではいずれも行なっており、あなたに最適な治療を選択します。当院には、痔核硬化療法施行医が在籍しており、年間 30 件程度の肛門疾患の手術を行なっています。
急性腹症とは、急激に発症し、激しい腹痛を伴う数多くの疾患の総称です。多くは急性胃腸炎といった良性疾患ですが、消化管穿孔や絞扼性腸閉塞 (血流障害のある腸閉塞)、ヘルニア嵌頓 (ヘルニア内容が出たまま戻らない状態) などは緊急手術を行わなければ命に関わります。そのため早期に診断し、適切な治療が必要となります。これら緊急性の高い疾患に対して、当科では 24 時間対応で診療に当たっています。
腹部大動脈瘤、末梢動脈の動脈瘤、静脈瘤などの血管外科疾患に対しては、毎月第 1、3、5金曜日に血管外科外来で専門医による診療を行なっております。腹部大動脈瘤は常に破裂の危険性を伴う疾患で、5 cm 以上に拡張した瘤は手術適応になります。当科では名古屋大学血管外科と連携し、手術はもちろんのこと、腹部を切らないステントグラフトによる治療も導入しています。腹部に拍動を伴うしこりに気付いたら是非ご相談ください。このほか、下肢血行障害に対する血管内治療、下肢静脈瘤の手術も行っています。静脈瘤の手術では、数ミリメートルの小切開で瘤を切除し、整容性に心がけています。
久美愛厚生病院外科では、呼吸器病の手術も行っています。頻度の高い疾患としては自然気胸 (肺に何らかの原因で孔があき、肺が縮んでしまった状態) や肺癌です。軽度の場合は胸にチューブを差し込んで漏れた空気を抜いてあげると肺が膨らみ、穴が自然に修復され治癒しますが、治りが悪ければ手術で孔の空いた肺を部分的に切除します。手術は可能な限り低侵襲な胸腔鏡手術 (1 cm 程の穴を 3 か所あけて、カメラで見ながら行う手術) で行います。肺癌の手術は令和2年度から呼吸器外科専門医が常勤となりました。今後、飛騨地域の呼吸器外科疾患についても積極的に治療を行っていきます。
全手術件数: 532件
全身麻酔手術 442件
脊椎麻酔手術 20件
局所麻酔手術 70件
主な疾患別の手術件数 (2023年度)
胃がん手術 |
17(8) |
大腸がん手術 |
57(39) |
乳がん手術 |
24 |
甲状腺・副甲状腺手術 |
4(3) |
食道がん手術 |
2 (2) |
肝臓手術 |
12 |
膵臓手術 |
8 |
ヘルニア手術 |
71(53) |
虫垂炎手術 |
22(21) |
肺切除術 |
40 (39) |
腸閉塞手術 |
29 (0) |
気胸手術 |
10 (10) |
胆嚢手術 |
62(58) |
下肢静脈瘤手術 |
1 |
その他
スタッフ一丸となってチーム医療を行っています。がんの手術治療だけではなく、早期から終末期までの緩和ケアもおこない、組織や職種を超えた診療体制を作っています。
当科の学会施設認定日本外科学会専門医制度修練施設
日本消化器外科学会認定施設
日本乳癌学会認定施設
日本臨床腫瘍学会認定施設
医師紹介
-
外科
小林 聡 (こばやし さとし) 副院長・外科部長・手術室部長 |
学会資格等 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本臨床腫瘍学会指導医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 日本乳癌学会乳腺認定医 検診マンモグラフィー読影認定医 内痔核硬化療法ALTA がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了 臨床研修医指導医 |
|
Profile 卒業年度:1993年 |
||
専門領域 一般外科・消化器外科 |
高木 健裕 (たかぎ たけひろ) 消化器外科部長 |
学会資格等 |
|
Profile 卒業年度 2005年 |
||
専門領域 一般外科・消化器外科・ 内視鏡外科 |
前田 孝 (まえだ たかし) 内視鏡外科部長 |
学会資格等 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 臨床研修医指導医 |
|
Profile 卒業年度 2008年 |
||
専門領域 一般外科、消化器外科 |
三品 拓也 (みしな たくや) 医長 |
学会資格等 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了 検診マンモグラフィ読影認定医 臨床研修医指導医 |
|
Profile 卒業年度:2011年 |
||
専門領域 一般外科、消化器外科 |
日比野 佑弥 (ひびの ゆうや) 医師 |
学会資格等 |
|
Profile 卒業年度:2018年 |
||
専門領域 一般外科 |
金田 広志 (かねだ こうじ) 医師 |
学会資格等 |
|
Profile 卒業年度:2020年 |
||
専門領域 一般外科 |
堀 明洋 (ほり あきひろ) 名誉病院長・飛騨医療センター長 |
学会資格等 日本消化器病学会専門医・指導医 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了 臨床研修医指導医 |
|
Profile 卒業年度:1978年 |
||
専門領域 内分泌外科・一般外科 |
外来担当医表
診 療 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
診察室 51 | 前田 孝 | 小林 聡 | 高木 健裕 | 小林 聡 | 関村 敦 |
診察室 52 | 金田 広志 | 三品 拓也 | 日比野 佑弥 | 関村 敦 初診のみ |
高木 健裕 |